映画『ROMA/ローマ』感想 Netflix:監督アルフォンソ・キュアロンの半自伝的作品

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画像はNET FLIX映画「ROME/ローマ」より引用

『ROME/ローマ』は、配給NET FLIXによる映画。2018年12月にNET FLIXにて配信され、 東京国際映画祭で劇場公開したのみで、2019年にやっと全国77館で公開されました。

ローマとはイタリアは関係なく、メキシコ合衆国の首都、メキシコシティにあるコロニアローマのこと。 『ゼロ・グラビティ』のアルフォンソ・キュアロン監督が、幼少期の体験を基に制作した、半自伝的な映画。

第91回アカデミー賞で作品賞含む、同年最多の10部門ノミネート。監督賞、撮影賞、外国語映画賞、受賞作品。

『ROMA/ローマ』ティーザー予告編 – Netflix [HD]
動画はYouTube「 ROMA/ローマ』ティーザー予告編 – Netflix [HD] 」より引用
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作品詳細

原題;ROMA 2018年/メキシコ アメリカ/135分
監督:アルフォンソ・キュアロン
脚本:アルフォンソ・キュアロン
出演者:ヤリッツァ・アパリシオ、マリーナ・デ・タビラ

あらすじ

1970年のメキシコシティ。アントニオ一家で、住み込みの家政婦として働くクレオは、アデラと共に掃除、送り迎えに忙しく働いていた。休暇中、ボーイフレンドのフェルミンとデートを楽み、愛を育んでいた。クレオは映画『大進撃』を二人で鑑賞、中妊娠している事をフェルミンに告げると、トイレに行くと告げたまま劇場に戻ってこなかった。クレオは探しに行くが見つからず途方に暮れてしまう。後日、彼の居場所を突き止めるが…。

感想と見どころ

家政婦クレオの日常

映像はモノクロで、非常に淡々とお話が進んでいき、長回しの引いたカメラで右から左へ動いている視点が多く、なんだか客観的に人々の日常を見ているという印象が強い映画でした。

日本でいうチンドン屋みたいのが、道をよく通るんですけど、こっちに来て過ぎて行くのをただじっと見ている、という感じにです。

オープニングは、水がジャバジャバと床に波のように流れ、何かと思ったら主人公で家政婦のクレオが掃除しているとこだったんですね。何度も水を流すと水面に、飛んでいる飛行機が写ります。

しかも映画途中でわかる事ですが、このアントニオ家で飼っている犬が、駐車場兼、中庭みたいなところで、やたらウンコをまき散らす為、そこらじゅうに落ちています。

犬のしつけもあまり出来ていないのに「早くウンコを掃除して!」とか、アントニオの妻ソフィアが言うんですね。なんだかカリカリしがちな人のようで、車も少々乱暴な運転をしています。カリカリの原因は夫が仕事で忙しく、家を空けがちで、もっと家族で過ごしたいのに過ごせない事が、原因のようです。

少しきつい事言われても、 家政婦のクレオはイヤな顔を見せず仕事をこなしていき、一家の子供達もすごくなついています。もうほとんど母代わりという感じでクレオも子供をとても愛している雰囲気が伝わってきます。

クレオは休暇中に、一緒に住み込みで働くアデラと二人の男とダブルデートに出掛け、映画館にいきます。クレオとフェルミンは部屋を借りて、二人だけの時間を過ごします。そこで裸のフェルミンは、画面に向けて、堂々とイチモツを振りかざしながら習っている武術を披露します。映画を観ている方もあっけに取られてしまいます。なんだ突然!感がやばいです。

この二人は順調に行くかと思いきや、ある日、映画館で鑑賞中に、妊娠したかもしれないとフェルミンに告げると「トイレに行ってくる」と、言って席を外し、そのまま行方がわからなくなります。雲隠れです。なかなかのとんでもないやつですよ。

クレオは当然探しに行きますが、彼は見つからず途方に暮れてしまいます。ソフィアに妊娠していることを告げると親身になって、話を聞いてくれます。ソフィアも決して嫌味な人とかではなく、クレオを家族のように想っているようで、一緒に産婦人科に行き、妊娠を確認しました。

そして新年を祝うため、アントニオ一家はクレオも連れて、親族のアシエンダ(大農園。先住民による低賃金労働、つまり搾取で成り立っている。)へ行きます。

大農園は、人がたくさんいて貴族のような暮らしなのか、とても豪華なです。野外パーティーでは銃を撃ち、夜は飲めや歌えやの大騒ぎです。盛り上がる最中、裏の森で火災が起き、みんなで消火活動をし、なんとか消し止める事が出来ました。

この場面では白人の豪華な暮らしぶりと、混血の先住民労働者とのはっきりとした暮らしの違いなどが見てとれます。そして後でクレオは、彼氏のフェルミンを探しに行くとき、彼の友人ラモンを尋ねると、バンドの練習をしています。しかし野外に機材を置いて練習していたり、周囲の暮らしぶりはまるでスラムです。メキシコでの人種的な階層社会や経済格差が、とてつもなく開いている事が伝わります。

そしてラモンからフェルミンの居場所を教えてもらうと、武道の稽古場にフェルミンはいました。 稽古場には師匠の元たくさんの人が練習をしていました。師匠が弟子達にこの一本立ちのポーズをやってみろと指導すると、みんなうまく出来ません。それを見ていたクレオは、真似してみると綺麗に一本立ち出来ます。

練習が終わるとクレオはフェルミンに声をかけました。妊娠をつげると、「二度と目の前に現れるな!召使め!」と、武術を振りかざし威嚇します。

コイツっ!(筆者)

出産予定日が近づいてくると、テレサと家具屋にやってきました。すると外は騒がしくなり、暴動のような状態になっていきます。負傷者も出て警察も出動し、ただ事ではありません。

家具屋にも人を追いかける、数人のグループが入ってきました。なんとそこには銃を持ったフェルミンもいます。目が合うクレオとフェルミンでしたが、グループと一緒に何処かへ行ってしまいました。そこでクレオは破水し病院へ向かいます。

映画の背景

1970年代、メキシコの背景が非常に重要な映画ですが、白人は贅沢な暮らしをしていたり、学生運動のようなことが起こったりしている事はわかりますが、映画内では説明はされない為、ひとつひとつ何が起きているのかよく分かりません。(少なくとも筆者は)

しかし調べてみると、アシエンダ制や血の木曜日事件、コーパスクリスティの虐殺とも呼ばれている悲劇の事件、ロス・アルコネス(鷹団)、という政府支援組織の存在などが描かれていることがわかりました。

スペイン人がメキシコ植民地化し、小作人として先住民を働かせ、大農園を経営しながら貧困層を搾取し続け、経済格差が広がり、政府と民衆との間に対立が生まれ、クーデターが起きます。その結果120人の死者が出て、フェルミンが所属しているロス・アルコネスは民衆を弾圧する政権与党の組織というショッキングな事実があります。

そんな動乱の時代の中、キュアロン監督が過ごした少年時代の体験と、実在する家政婦のリボリアさんへ想いが詰まった映画でした。

最後に

映像が美しく、静かに進行していきますがショッキングな場面もあります。クレオ役のヤリッツァ・アパリシオは今まで演技経験はなく『ROMA/ローマ』で初めて演じました。監督はリボリアさんの感じがする人でヤリッツァと会うと、すぐにクレオだと思ったとインタビューで語っています。

筆者はこの映画を通して、メキシコという国の背景を少しだけ触れ、監督の想いを知りました。映画終盤は、後光が差すようなクライマックスでとても感動的な「家族」の物語でした。これからも、この映画を度々思い返す時が来ると思います。大変素晴らしい映画でした。

押し付けたい度★★★★★


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