『ハウス・ジャック・ビルト』ラース・フォン・トリアー監督、最新作!建築家のシリアルキラー【感想】

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日本公開日2019年6月14日

映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000年)などで知られる、ラース・フォン・トリアー監督最新作。主演はマット・ディロ督の前作『ニンフォマニアックVol.1、Vol2』(2013年)に出演していたユマ・サーマン。そしてエルヴィス・プレスリーの孫、ライリー・キーオや、今年死去したブルーノ・ガンツが出演している。

ラース・フォン・トリアーと言ったら、残酷とか鬱とか鬼才(鬼才ってなんだよ、とか思って改めて調べると「人間とは思われないほど、すぐれた才能」らしい )等の言葉が並び、今作では”残虐”が追加されました。絶対。

とにかく目を覆いたくなるような場面が多くあり、画面を直視することが出来ない映画となっています。トリアー監督の事だからラストは絶対、観客を奈落の底に突き落とすんでしょ?とか思いながら劇場に向かったのでした。

『ハウス・ジャック・ビルト』予告編 6/14(金)公開
動画は公式サイト「ハウス・ジャック・ビルト」より引用
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作品詳細

原題:The House That Jack Built 2018年/デンマーク、フランス、ドイツ、スウェーデン/155分
監督: ラース・フォン・トリアー
脚本: ラース・フォン・トリアー
出演者:マット・ディロン、ブルーノ・ガンツ、ユマ・サーマン、シオバン・ファロン、ソフィー・グローベール、ライリー・キーオ、ジェレミー・デイビス

あらすじ

1970年代の米ワシントン州。建築家になる夢を持つハンサムな独身の技師
ジャックはあるきっかけからアートを創作するかのように殺人に没頭する・・・。彼の5つのエピソードを通じて明かされる、 “ジャックの家”を建てるまでのシリアルキラー12年間の軌跡。

公式HP「ハウス・ジャック・ビルト」より抜粋
※以下、ネタバレ注意です。結末や、重要な場面は触れていません。

感想と見どころ

強迫性障害の殺人鬼

映画の主人公ジャック(マット・ディロン)は強迫性障害で非常に潔癖性です。例えば、とある家に向かい、警察官を装って対象の女性の家の中に入ります。彼女を殺し、死体を袋に詰め自分の乗ってきた車に載せます。消毒液を使って床をしっかり掃除してから現場を立ち去ろうとします。

しかし運転席に戻り、車を発進しようとすると中々出来ません。血が床に残っているんじゃないかとか、壁に付いているんじゃないかと不安になるんですね。しかもその不安は、警察に見つかるからというか、潔癖症だから気になっているという感じなのです。

部屋に戻りまた入念に掃除して車に戻ります。しかしまだ発進出来ません。まだ気になるのです。だからまた部屋に戻ってしまいます。(しかもこの時、鹿威しのBGMみたいのが流れます)というのを繰り返していると、とうとうパトカーのサイレンが聴こえてきてしまいます。

それでもまだ、血の汚れが気になっているというがコメディになっているんですけど、観客の筆者としては笑っていい場面ではないが笑ってしまうという、なんとも意地悪な感情にさせられてしまうのです。

この映画はジャックとヴェルギ(ブルーノ・ガンツ)の会話が終始行われながら進んでいく形式となっていて、ヴェルギは「強迫性障害の連続殺人鬼とか笑える」と話しています。

他にも建築家で芸術家のジャックは、殺した人間を写真撮影するのが好きらしく、凍らせて固まった死体を置物のよう扱い、いろんな置き方をして撮影します。悪趣味を通りこして、どうしても笑いがこみ上げてしまいます。そして子供にまで…。

こんな感じで全体的にブラックなコメディになっていて、なんだかとんでもない気分になっていきます。

あるゆる引用

この映画はあらゆる芸術作品の引用、モチーフが散りばめられています。公式サイトにも書かれていますが、ダンテの「神曲」や「マザーグース」の The House That Jack Built(ジャックが建てた家)というこの映画のタイトルにもなっている詩。

ちなみにこのタイトルの意味は映画終盤で分かります。そんな家…。

殺し屋のリチャード・ククリンスキー、完璧主義のピアニスト、グレン・グールド。ボブ・ディランのホームシックブルースなど、まだまだあります。

ジャックで殺人鬼というと有名な「切り裂きジャック」を思い出しますし、実際映画
ではアラン・ムーアの「フロム・ヘル」で描写されている残忍な行為がシンプル(ライリー・キーオ)に対して再現されています。

ウジェーヌ・ドラクロワの「ダンテの小舟」を思わせる場面が映画最後の地獄巡りで出てきたり、いろいろな引用が映画には出てきます。あと劇中ではデヴィッド・ボウイの「FAME」が度々流れます。この曲がまたブラックコメディ感を煽ってくる!

まあ、あれこれ引用を楽しめる映画でもあります。

やっぱりラース・フォントリアー?

映画全体的にはやっぱりラース・フォントリアーな感じで抜群の安定感があります。
エピソードを区切りながらストーリーが進んでいく手法も相変わらず健在ですし、実験的な画や美しい映像も観られます。観たことないものを観たという感覚は今回もしっかり味わえました。

「神曲」の血の川プレゲトン?とか、「ダンテの小舟」の実写映像とかスゴイですよ。筆者は鮮烈に映像が脳裏に焼き付いています。映画館のスクリーンで見る迫力はやはり堪らないですね。話はヒドイ事しか起きませんが。

そしてラストは意外な結末を迎えます。意外というのはラース・フォントリアー作品の中ではとても意外です。ラース・フォントリアー監督て誰?な方は、スルーすると思いますけどファンはあれ?ってなると思います。

殺人鬼のジャックは完全にどうかしてる人ですが、これは監督自身の投影でもあり監督=ジャックであると思います。劇中でも監督作品の走馬灯のような映像が出てきたりします。どう思われたいんでしょうね。でも今回のラストはあれ?ってなるので監督もやはり人の子という事でしょうか。

おかしな映画を観たい方は、楽しく観れると映画だと思います。とてつもなく気味の悪い映像と、心の保ち方がわからなくなっていきますが!

しかし劇場で配られたポストカードが、監督の足が曲がってはいけない方向に曲がっている写真でとても気味悪いんですけど。どこにしまうか困るなぁ。

押し付けたい度★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

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