『アス/Us』映画感想あらすじネタバレ:ドッペルゲンガーが来た!ジョーダン・ピール監督最新作

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アス/Us 映画
(C)Universal Pictures

2019年9月6日『アス/Us』が公開されたので観に行ってきました。

今年楽しみにしていた作品の一本でジョーダン・ピール監督最新作です。彼は前作の『ゲット・アウト』(2017)はコメディ、ホラー、社会風刺と斬新な雰囲気を持ったブラックな映画でした。

予告を観ると前作と似たテーマだなと思いましたが、本作はどんな作品なのでしょう。

目次2-1からネタバレしています。

『アス』予告編90秒
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作品情報

原題:Us 2019年/アメリカ/116分/ホラー
監督:ジョーダン・ピール
脚本:ジョーダン・ピール
出演:ルピタ・ニョンゴ、ウィンストン・デューク、エリザベス・モス 、ティム・ハイデッカー

ロッテントマト
トマトメーター(批評家)94%
オーディエンス(観客)61%

※批評家と観客に乖離はあるが総じて評価は高いと言える。

あらすじ

“わたしたち”がやってくる
アデレードは夫のゲイブ、娘ゾーラ、息子のジェイソンと共に夏休みを過ごす為、幼少期に住んでいた、カリフォルニア州サンタクルーズの家を訪れる。早速、友人達と一緒にビーチに行くが、不気味な偶然に見舞われた事で、過去の原因不明で未解決なトラウマがフラッシュバックする。やがて、家族の身に恐ろしい事が起こるという妄想を強めていくアデレード。その夜、家の前に自分達とそっくりな“わたしたち”がやってくる…。

公式サイト映画「アス」より引用

感想

※まだネタバレしていません。

映画を一言で表すと、伏線だらけの不気味ホラー。映画はルピタ・ニョンゴ(アデレード)達4人家族が、別荘に行きバカンスを楽しむ話です。ここでのニョンゴの行動が不気味で、なんかイヤな事が起こりそうな雰囲気を、常に漂わせています。

ホラーなんだから(監督はスリラーと言っている)イヤな雰囲気は当たり前だけど、突然大きな音を出して客をビックリさせるタイプではなく、生理的にイヤな感覚を突いてくるタイプの怖さです。

子供がクローゼットに入って遊んでいるだけなんだけど、母親のニョンゴが近寄ると気味悪い音楽が流れたり、幻視がシークエンスで挟まれたり、過去の記憶とそして意味深な聖書のエレミヤ11、11という記号。

記号と言えば映画冒頭から、ハンズアクロスアメリカのニュースから始まりニョンゴが幼少期の回想で着ているTシャツがマイケル・ジャクソンのスリラーだったり、息子のジェイソンは映画ジョーズを着てたり友人家族の娘はバンドTブラック・フラッグだったり、ハサミ、ウサギ、他になにかと記号だらけの映画です。

この意味深な記号から何かを読み解いて下さいと、言わんばかりの演出も映画の特徴です。

そうだ、思いだした。アメリカの地下にはトンネルがある、みたいなナレーションも出てきてたな。まるで都市伝説を語るように。

父親のウィンストン・デューク(ガブリエル)は陽気な人物なので、なんとか楽しい家族旅行にはなっているけど息子ジェイソンと娘のゾーラは、大人しい性格でバカンスヤッホー!!な感じはありません。

息子は変なお面付けてるし。娘はずっとスマホをいじってるし。

そしてこの旅行はやっぱりまずい!と、なる出来事が起きます。息子のジェイソンがビーチで手から血が流れた人を目撃します。このときニョンゴが、ビーチからいなくなってしまったジェイソンを探して見つけたときに掛けた言葉が「連れ去られたかと思った」と、不気味な言葉を言います。

まるで何かを案じているようです。

あんな目立つヤツが居たらビーチじゃ騒がれると思うけど目撃者いなかったのかな。まあ人けのないところだしいいのか。

スルーな感じ。でもアイツはやっぱりスルー出来ないだろ!

家に帰るとジェイソンのお絵かきは、この出来事でまた気味悪い。

そして、夜寝るときニョンゴが別荘でもうここには居たくないと夫に訴えます。もう家に帰りたいようです。ジョークで返す夫。真顔のニョンゴ。楽しいバカンスは、もう過ごせそうにありません。このときカメラが、ガラス越しのニョンゴを撮っていて“ドッペルゲンガー”を思わせる演出があります。

まるで映画のあらすじにある“わたしたち”を示唆するように。

他にもいろいろと迷い込んだ鏡のアトラクション(お化け屋敷みたいなところ)や、幼少期に無口になってしまったニョンゴの回想シーンが登場します。

映画全体としては、新感覚ホラーという印象でとても面白いです。 スリラー映画という方が、しっくりくるのかもしれません。

近年で言うと、デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の 『イット・フォローズ』(2014)の感覚に近いかな。トラウマ度も高い映画かもしれません。

そして、ついにやって来ました“わたしたち”=ドッペルゲンガーが。

※ここから完全にネタバレになります。
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ドッペルゲンガーの正体

ジョーダン・ピール監督は前作の『ゲット・アウト』で人種問題を風刺し今作では、主に貧困問題、格差社会を扱っているように思えます。

映画冒頭で“ハンズアクロスアメリカ”というニュースを流れます。Wikipediaによると1986年に起こったチャリティイベントで、650万人が手を繋いで人間の鎖を作ったとあります。

チャリティ参加費は総額1500万ドル(現在レート16億円)を貧困の人達へ寄付されたそうです。

Michael Jackson – Cry (Official Video)

動画はマイケル・ジャクソンの『Cry』という曲のPVです。映画最後にはこのPVのように人間の鎖をたくさんのテザート=ドッペルゲンガー達が作り終わります。

映画は地下にいる多くのテザート=ドッペルゲンガーが地上に出てきて自分を殺しに来ると
いう内容ですが“ハンズアクロスアメリカ”のようなチャリティイベントに対して監督は、なんらかの危惧を感じているように思えます。

また、監督はインタヴューで「本当の敵というのは、自分自身である事を良く分かっているのに敵を外に作りがち」と、語っているのでチャリティイベントは表面的な活動だと言いたいのでしょうか。

本質から目を背けていると。映画タイトルの『アス/Us』はアメリカ、私たち、アスホール(イ馬鹿野郎!)とかの意味があり、アメリカに対するメッセージなのかもしれません。

“ハンズクロスアメリカ”を模倣したドッペルゲンガー達が自分達を殺しに来るのですからメッセージ、或は皮肉でない訳がありません。

とすると格差社会や貧困という本質はなんのなのでしょうか。

“やらない善よりやる偽善”だとか、“貧困なのは自己責任”だとか自己責任論を展開する人達を私は思い浮かべました。壮大なテーマですが、映画では問題提起をしているように見えます。

最初からもう一回観たくなる映画

ニョンゴ達4人家族のドッペルゲンガーが表れて家族を襲いニョンゴのドッペルゲンガーは、自分たちの生い立ちを話し出します。

何故こんなに家族事情を知っているのか、思い起こせばビーチで「喋るのが苦手」と話しているのはオチを見れば当然分かります。

母のニョンゴは、幼少期にビーチにある鏡のアトラクションに入った際に、自分と全く同じ容姿の女の子と遭遇し、地下に連れ去られて入れ替わってしまうというオチでした。

つまり映画は最初からニョンゴは偽物なのです。なので偽物が本物の振りをして家族、社会に溶け込んでいる訳ですから、当然、気味の悪い行動をちょこちょこしでかすのです。

そしてひょっとしたら息子のジェイソンも既に入れ替わっているかもしれないと、思わせて映画は終わります。これは決定的は描かれません。

他にもオチを知ってから考えると腑に落ちる事がいろいろあります。

最初からもう一回映画を鑑賞して事情を理解して見直すと、色々見えて来るものがありそうです。なので、もう一回観ます。

なんだかジョーダン・ピールにうまく乗せられているような気がしなくもないが、まあいいか。

それゆえ主はこう言われる、見よ、わたしは災を彼らの上に下す。彼らはそれを免れることはできない。彼らがわたしを呼んでも、わたしは聞かない。

エレミヤ 書11章11節

引用は映画で登場する聖書の一節です。

この引用だけ読むと主(神の事)が災いを彼ら(人間?)の上に下すと、しかも免れる事が出来ないので、ただただ怖いとしか言いようがないですね。

前後の文脈を読まなければ意味がわからないので、私にはまったく解釈出来ない。

11:11という数字が頻繁に出てくるので、見たものに勝手に人が意味付けをしている的な事なのか?と考えたがよく分からない。

恐らくヒッチコック等の映画のオマージュや、なにかの引用など古い映画に詳しい方なら気付ける点もあると思われます。ウサギも象徴的に使われていたり、観る人の知識を動員してそれぞれの楽しみ方が出来そうな作品です。

ジョーダン・ピール監督の語り口というのは独特かつユーモアがあるのでとても面白いですが、知識的な問題の違いで見え方が変わってくるので、特に国の違う日本ではどういう風に観られるのかも気になるところです。

ロッテントマトの批評家と観客の評価の乖離は、ここと関係があるのではないかと思います。

私としてはヴィジュアル的にも印象的なシーンは多いいし、ホラー映画として面白いかったです。そして、気になる記号的な物はもう一回自分なりに調べて楽しんでみようと思いました。

ジョーダン・ピール監督作は今後も観に行きます。次回作も楽しみです。

押し付けたい度★★★☆☆

『ゲット・アウト』同監督の前回作品。

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ホラー
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